ESFORM

課題解決 研究補助

AMED医工連携事業化推進事業

肝臓がん治療の課題を解決する、新たな医療機器開発への挑戦

WOWエマルションで肝動注療法の課題を克服

肝臓がんに対する化学療法の一つに、水溶性抗がん剤と油性造影剤を混和させた薬剤をカテーテルで肝臓へ直接投与する「肝動注療法」があります。この療法は全身投与と比べて高濃度の薬剤を確実に腫瘍へ届けることができ、全身の副作用を抑えつつ高い抗腫瘍効果が期待できます。

一方で、肝動注療法で用いられる薬剤の混和比率や作成方法は医師や医療機関ごとに異なっており、手動操作による調製には「抗がん剤の早期排出による全身副作用」「粒子サイズが不均一で、抗がん剤ががんまで届かない」「調製品質の変動及び劣化」といった課題が存在していました。
こうした課題に対し、東京大学先端科学技術研究センター(当時)の柳衛宏宣先生は、腫瘍局所で抗がん剤の有効濃度を長時間維持できる「WOWエマルション」に着目。品質の高い肝動注用WOWエマルションを簡便かつ安全に作成するため、粒子のサイズや均一性をコントロールできる「ワンシリンジ型WOWエマルション作成機器」の開発プロジェクトを立ち上げ、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業に採択されました。
弊社は研究段階から参画し、医療機器メーカーとして培った知識と技術を基に、研究・開発・実用化に取り組みました。

高い治療効果を再現性高く生み出すシステム開発

WOWの粒子サイズ及び均一性をコントロールすることが可能なシステムを開発。下記の専用デバイスで構成されたプロトタイプを製作しました。

ミキシングデバイス

膜乳化法により精度の高いWOWを生成します。特殊多孔質細孔を組み込んだコネクター構造で、数回のポンピング(一次乳化)と外水とのワンパス(二次乳化)で、理想的なWOWエマルション(目標粒径約70μm)を調製します。

ポンピングデバイス

電動アクチュエータおよび圧力・速度制御システムにより、手動操作に起因するばらつきを排除し、最適条件でのポンピングを実現します。優れた再現性と簡便性により、操作者に依存することなく、高品質な製剤を安定して調製します。

新たな医療機器として上市するために

当社がこれまで培ってきた医療機器製造販売業としての専門知識とノウハウを活用し、開発したシステムの市場投入に向けた準備を整えました。

新規医療機器としての薬機対応

開発デバイスの新規性を踏まえ、新たな一般的名称(新規カテゴリ)の創設及び承認に向けたプロセスを確立しました。

安定した供給体制の確保

主要部材について、大手医療機器メーカーとの協議を行いバルク供給の合意を取り付けるなど、安定した生産体制を構築しました。

海外(台湾)展開を見据えて

台湾への輸出を視野に、現地法人と協力体制を構築し、台湾食品医薬品局(TFDA)への事前相談を通じて製品カテゴリの確認および承認プロセスの明確化を行いました。
また、混合診療制度における適正価格の獲得と学術プロモーションを目的として、現地の専門医と連携した非臨床試験および臨床研究の準備を整えました。

医工連携による先端研究の実用化

本共同開発は、柳衛宏宣先生のアイデアと医療現場の知見、そして当社の医療機器メーカーとしての技術と知識を融合させることで、実用レベルの新規医療機器開発を実現いたしました。また、AMEDの「医工連携事業化推進事業」にも採択されており、産官学が連携してプロジェクトを推進した事例の一つです。

事業詳細

事業名: 平成27〜28年度 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医工連携事業化推進事業
課題名: 「肝臓癌動注療法におけるワンシリンジ型WOWエマルション作成機器の開発・海外展開」(採択番号 26-083)
事業管理機関: 学校法人 明治薬科大学(プロジェクトリーダー:柳衛 宏宣 教授)
共同開発体制:エンジニアリングシステム株式会社(サブリーダー:藤本 和士)
       東郷メディキット株式会社
       公益財団法人結核予防会 新山手病院